医療法人社団玄洋会は、1955年に苫小牧の地に佐藤医院として開設して以来、地域の精神医療を担ってまいりました。1970年に道央佐藤病院として病院化し、その後法人化を経て、現在は入院医療を担う道央佐藤病院と、外来機能を担う北海道メンタルケアセンターを中心に、医療と福祉が連携した体制づくりを進めています。
精神科医療を取り巻く環境は、入院中心の医療から地域・外来を軸とした継続的支援へと大きく変化しています。こうした流れの中で、当法人では「人と人とのふれあい」を大切にしながら、地域の中で安心して治療と生活を続けることが出来る体制づくりを重視してきました。その中核を担う外来機関として、2003年に開設されたのが北海道メンタルケアセンターです。
北海道メンタルケアセンターでは、精神科・心療内科を中心に、児童・思春期から老年期まで、幅広い年齢層を対象とした外来診療を行っています。なかでも近年は、児童・思春期精神科への対応を重要な柱の一つと位置づけ、早期からの支援や家族への関わりを重視した診療体制の充実に努めています。学校や関係機関との連携を通じて、地域全体で子どもたちを支えることが求められる時代であり、外来精神科の役割はますます大きくなっていると感じています。
また、高齢化の進展に伴い、認知症への対応も重要な課題です。当法人では、重度認知症デイケアおよび認知症予防デイケアを整備し、症状への対応にとどまらず、生活機能やその人らしさを大切にした支援を行っています。外来診療とデイケアを組み合わせることで、医療と生活支援を切れ目なく提供することを目指しています。
さらに、働く世代のメンタルヘルス支援も、今後ますます重要になると考えています。心の不調を抱えながら働く方、あるいは休職を余儀なくされた方が、再び自分らしい生活や就労を取り戻していくためには、医療だけでなく、リハビリテーションや社会参加を見据えた支援が欠かせません。デイケア等を活用した復職支援については、今後さらに力を入れて取り組んでいきたいと考えています。こうした取り組みの根底にあるのが、法人全体で大切にしている「リカバリー」の視点です。症状の改善のみを目標とするのではなく、その人が地域の中で自分らしく生活していく過程を支えることを、私たちは精神科医療の重要な役割と考えています。
精神疾患と共に身体疾患を抱えられている方は多く、他の科の医療機関との連携は非常に重要です。その逆もまた然りで、身体疾患を治療中の方でメンタルケアや精神科治療を必要とされる方も少なくありません。
当法人では、近隣の総合病院等の医療機関との連携強化にも努めており、身体と精神両面の包括的な医療の追求や、より一層の地域医療への貢献を目指して、日々邁進しています。
今後も、道央佐藤病院と北海道メンタルケアセンターがそれぞれの機能を活かしながら連携し、地域の関係機関の皆さまと協働しつつ、苫小牧・胆振地域における精神科医療の一端を誠実に担っていきたいと考えています。
精神科医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、私たちもまた日々試行錯誤を重ねながら、地域に求められる役割を模索しています。今後も北海道精神科病院協会の諸先生方、関係機関の皆さまとの連携を大切にしながら、より良い精神科医療の実践に努めてまいりたいと存じます。何卒、変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
医療法人社団玄洋会 北海道メンタルケアセンター
所長 福富 翼